ベトナムの投資環境
個人所得税
2007 年 11 月 20 日に、 2009 年 1 月 1 日より施行される改正個人所得税法が国会を通過した。
この改正法では、全てのベトナム人及び外国人に対し統一した税率を適用し、外国人居住者の最高税率は現行の 40 %から 5 %引き下げられ、 35 %となった。また、従前なかった基礎控除扶養控除を新たに導入した。課税対象も多様化し、個人投資家による証券取引に対する利益は改正法の課税対象として課される。この改正が、ベトナム国内における雇用者及び被雇用者に対して大きな影響を与える事は明らかである。
(課税対象者)
改正法の規定では、納税義務者は居住者のみならず、ベトナムで所得を得ている非居住者も含まれる。
以下のいずれかの要件に満たせば、課税対象者になりうる。
暦年で 1 年間また最初の到着日から継続して 12 ヶ月の間に 183 日以上滞在の者。
ベトナムに滞在するための定期的な滞在先がある。定期的な滞在先が登録されている場合または定期間賃貸借契約を締結している場合。
非居住者とは上述に定められた要件に満たさない者である。
(課税対象所得)
課税対象所得とは、現物支給を含めベトナム内外で得た収入の合計である。居住者の全世界所得に対して累進税率が課せられ、非居住者はベトナム源泉所得に対して一律 20 %が課税される。
(課税表)
個人所得税制度においては、課税対象によって、累進課税と分離課税が採用されている。
改正法においては、課税対象者に対する個人事業収入、給与収入に対して下記の累進税率が課せられる。
▼居住者の個人事業収入、給与収入に対する累進税表
区分 |
課税対象所得 / 年 (千 VND ) |
課税対象所得 / 月(千 VND ) |
税率 (%) |
|---|---|---|---|
1 |
60,000 |
5,000 |
5% |
2 |
60,000 超 - 120,000 |
5,000 超 - 10,000 |
10% |
3 |
120,000 - 216,000 |
10,000 - 18,000 |
15% |
4 |
216,000 - 384,000 |
18,000 - 32,000 |
20% |
5 |
384,000 ‐ 624,000 |
32,000 - 52,000 |
25% |
6 |
624,000 ‐ 960,000 |
52,000 - 80,000 |
30% |
7 |
960,000 超 |
80,000 超 |
35 % |
その他の収入に対する課税率は以下の通り。
▼分離課税表
課税対象収入 |
税率 |
|
|---|---|---|
居住者 |
非居住者 |
|
| 給与・賃金収入 | 累進課税図 3 |
一律 20 % |
個人事業所得・家族経営での事業所得 |
同上 |
物品販売及びサービス提供活動により 1 %、 5 % 物品生産、建設、運送における事業活動により 2 % |
出資に対する利益 (配当利益・貸付による利息)(注1) |
5 % |
5 % |
資本譲渡による譲渡益-直接的な利益 (有限会社の持分譲渡など) |
純利益に対して 20 % |
売却総額に対して 0.1 % |
資本譲渡による譲渡益-証券取引 (譲渡益が算定できる有価証券) |
純利益に対して 20 % |
売却総額に対して 0.1 % |
資本譲渡による譲渡益-証券取引 (譲渡益が算定できない有価証券) |
売却総額に対して 0.1 % |
売却総額に対して 0.1 % |
譲渡益が算定できる不動産取引の利益 |
純利益に対して 25 % |
売却総額に対して 2 % |
譲渡益が算定できない不動産取引の利益 |
売却総額に対して 2 % |
売却総額に対して 2 % |
ロイヤリティ収入-著作権、商標権 (課税所得は移転により発生した所得の 1,000 万 VND 以上と定められる) |
1 件当たり 1,000 万 VND 超分に対して 5 % |
1 件当たり 1,000 万 VND 超の分に対して 5 % |
宝くじの賞金、相続、公的賭博、贈答品 |
1 件当たり 1,000 万 VND 超分に対して 5 % |
1 件当たり 1,000 万 VND 超分に対して 5 % |
注 1 :金融機関の預金金利は免税となる。
[ 証券取引に係る税金の取扱に関する規定 ]
財務省は 2006 年 8 月 10 日に通達 72/2006/TT-BTC を公布し、証券の処分に関連して発生する VAT と法人所得税の税務に関する 2004 年 10 月 20 日付通達 100/2004 /TT-BTC を修正した。
(税率)
証券取引を行う外国法人投資家は省令第 72 号に基づき、売却する証券の総額の 0.1 %に相当するみなし法人所得税を納付する義務を負う。
個人投資家の証券取引から得た利益に対する納税義務については、個人所得税法に規定されている。
▼法人投資による証券取引に対する課税表
課税対象所得 |
税率 |
|
|---|---|---|
ベトナム法人投資家 |
外国法人投資家 |
|
有価証券譲渡益(注 1 )
|
純利益に対して法人所得税の 25 % |
売却総額の 0.1 % |
債券投資による利益 (免税対象とする債券投資による利益は課税されない) |
純利益に対して法人所得税の 25 % |
債券の額面価格とクーポンを合計する金額に対して 0.1 % |
証券投資による配当(注 2 ) |
免税 |
免税 |
注 1 :、非課税債券を除き、株式、投資信託、その他の債券における譲渡益は課税対象所得と思われる。
注 2 :株式また投資信託への投資による配当は既に法人所得税が納付されているのであれば、課税されない。
(源泉徴収義務)
源泉徴収義務については、次のように規定している。
上場株式に対する源泉徴収
外国籍投資ファンド、外国企業や外国人投資家の運用する上場株式に対して課税される税金については証券取引口座( STA )を開設している口座証券会社が源泉徴収することになる。
未上場株式に対する源泉徴収
外国籍投資ファンド、外国企業や外国人投資家の運用する未上場株式に対して課税される税金については有価証券投資用口座( CCA ) を開設している商業銀行が代わって源泉徴収することになる。
税務申告、納税及び確定申告は課税所得が発生した日から 30 日以内に実施する。その際、税務申告と納税用の書式については通達 72 号に添付されるものを使用する。
源泉徴収義務者は 1 件当たりの税務申告及び納付に際し徴収額の 0.8 %を手数料として請求することができる。ただし、 1 件当たり 5,000 万 VND を上限とする。